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人工膝関節置換術に関するもの

ここにある回答は、必ずしもすべての方に当てはまるとは限りませんので、詳しくは、主治医にご相談ください。

Q.人工関節の種類を自分で選ぶことはできるのでしょうか?
人工関節は市販されているものではありません。そのため、一般の方が正しい情報を入手することは、難しいですので、種類については、主治医にご相談ください。
Q.いつ手術を受けようか悩んでいます。
「痛みや関節の動きが悪いために、日常生活をおくる上で我慢できなくなったとき」がひとつの目安でしょう。関節の状態、片側のみか両側か、痛みの程度、仕事の内容、家庭の状況、自身の人生観などをふまえてよく考えましょう。さまざまな手術の方法や入院期間、退院後の生活や再手術のことなど、関節の専門医と十分に相談することをおすすめします。
いずれにしても、最終的な判断をくだすのは患者さんご自身です。手術してから「こんなはずではなかった」と手術についてわからないことや不安なことは、何でも医師に相談してみましょう。
Q.ナビゲーションを用いて手術をする病院がありますが、手術費用などは違うのですか?また希望すればナビゲーションを使ってくれるのでしょうか?
人工関節置換術にナビゲーションを使用した場合は、全国どこの病院でも同じ2万円の医療費加算(2018年4月現在)があります。また、患者さんにより適応が異なりますの、で主治医とよくご相談ください。
Q.手術後にコタツに入って大丈夫でしょうか。椅子に腰掛けたまま暖まれるテーブルこたつを買いました。手術仲間の間では、赤外線がよくないという話があり不安です。人工関節の人が使ってはいけない暖房器具があれば教えてください。
近赤外線やマイクロ波などの波長の短い放射線は、金属をも温める作用があります。そのため、体内の人工関節にも作用して、その部分でヤケドのような状態を引き起こす場合があります。ですから手術した部位の電気治療も禁忌です。近赤外線に対して遠赤外線は金属そのものを温める作用がありません。メーカー等に確認してください。
Q.人工関節の手術をしたあと、空港の金属探知機が鳴るようになってしまいました。なにか良い方法はないでしょうか?
英語と日本語で人工関節が入っていることを明記した証明書を病院から出してもらい、空港係り員に提示する方法があります(ただし、公的な文書ではありません)。人金属探知機がなっても身体チェック後飛行機に乗れますので、チェックインを早めにすることを心がけましょう。
Q.病院で人工関節置換術を勧められ、検討しています。手術の体験談を聞きたいのですが、身近なところには経験者がいないため、不安が解消されません。術後の生活はどのように変わるでしょうか?
手術を受けられた方の体験談を聞くことは、とても参考になり、安心にもつながるでしょう。一度、主治医にご相談されてはいかがでしょうか。また、リハビリ室を見学させてもらうのも安心につながるかもしれません。このホームページの「情報コーナー/患者さんの声」にも体験談が掲載されています。体験談の引用先ビデオを扱っている医療機関もありますので、主治医にご確認ください。
Q.人工膝関節置換術と人工膝関節全置換術は何が違うのでしょうか?
人工膝関節置換術には、膝のいたんでいる部位や程度によって、膝関節の内側または外側のどちらか一方だけを置換するための人工膝関節(片側置換)と、両側を置換する人工膝関節全置換術があります。
Q.以前、人工関節にすると取り替えるための再手術が必要と新聞で読みました。75歳の母ですが、60代から膝に水がたまりはじめ、現在は水を抜いたり、痛み止めの注射などをしています。骨がささくれ立ったようになって痛みもあり、手術をすすめられていますが、高齢になってからの再手術では嫌だなぁと言っています。
現在の人工膝関節全置換術では、適切な手術を行った場合、約20年程度は痛みなく歩行が可能と考えられています。したがって、65歳以上の方であれば、膝関節の破壊が進行してきた場合に、手術を行った方が、痛みがとれると考えられます。あまり高齢になると、心臓や血圧などの合併症が起こってくる可能性が高くなり、手術が困難となってくるため、全身的な状態を考えながら手術の時期を決めることになります。3年、5年後のことも考慮に入れて、いわゆる人生設計を行うことも大事だと考えます。
Q.人工膝関節置換手術後にゴルフはできますか?
個人差がありますが、人工膝関節でプレーをしていた米国のプロゴルファーが存在します。一般的に膝関節をねじらないように注意が必要です。詳しくは主治医に確認してください。
Q.MIS手術ができる病院を教えてください。
MISを前面に出して病院を宣伝することは一般的ではありませんので、手術を受けようと思っている地域の大きな病院に直接問い合わせる方が確実かと思います。
Q.手術を行った際、細菌が繁殖する確率はどのくらいありますか? また、季節によって違いはあるのでしょうか?
細菌が繁殖する確率は非常に低く、人工関節を行う際にクリーンルームという細菌の数が非常に少ない手術室で行った場合は1%未満と言われています。クリーンルームを使用する場合、季節的な影響はほとんどないと考えられています。
Q.術後の感染のうち、年月を経てからの感染はどういったことから起こるのでしょうか。例えば歯槽膿漏による歯茎の腫れや、外傷が化膿した場合なども感染の原因になるのでしょうか?
術後、1、2年後に感染が起こることがあります。一般に、歯槽膿漏など体のどこかに細菌感染がある場合や、扁桃腺炎、気管支炎などで高熱を出した場合、血液中に細菌が検出されることがあり、血液を介して人工股関節周囲に細菌が付着してしまうことがあります。歯は定期的なケアが大切です。
Q.膝関節置換手術は何歳位まで可能ですか? また、手術後膝をついてもよいのでしょうか? またどの程度走ることができるのでしょうか?
基本的に85歳程度までであれば、一般的に手術は可能と考えられています。しかし、心臓や肺、その他の臓器が手術に耐えられるかを手術前に調べる必要があります。全身的に問題がなければ90歳程度までは手術を行っている病院もあります。手術後は、腫れなどがひいた後は膝をついても特に問題はありません。
ただし、衝撃を与えるような膝のつき方は避けてください。転倒して人工関節周囲の骨折が起こった場合、その治療が非常に困難ですので注意が必要です。
Q.術後はどのくらいまで杖が必要ですか?
術後2週目程度からでも、しっかり歩ければ杖は一般的には必要ありません。痛みが残っていれば、しばらく杖を使用したほうが良い場合もあります。
Q.人工関節の手術を受けた場合の医療費はいくらぐらいになりますか?
人工関節の手術では、手術料、人工関節(インプラント)費用、手術に必要な検査、処置、薬剤、リハビリテーション料等のほか、入院一般にかかる費用(入院基本料や食費)等がかかります。概算で200~220万円になります。ただし、人工関節の種類や入院期間、医療機関によって若干異なります。また、医療費の自己負担の割合は患者さんによって異なりますので、詳しくは手術を受ける医療機関でご確認ください。