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関節のはなし
(関節のしくみと主な病気)

股関節や膝関節は、体重を支えて立つ・歩くなどの移動を行う上で大切な関節です。 これらの関節に問題が生じると、動きが悪くなり、歩くときなどに痛みが出て、日常生活が大変不便になります。また、思うように運動ができなくなります。運 動不足は生活習慣病を引き起こし身体の老化を早めます。 健康を保つためにも、関節にやさしい生活をこころがけましょう。

関節は、骨と骨のつなぎ目にあたる部分です。膝や足首、肩や肘、あごなど、人の体にはいくつもの関節があります。これらの関節を動かすことで、歩く、しゃがむ、物をつかむなど、人間が生活する上で必要な動作が可能になります。

骨と骨は堅いもの同士です。堅いもの同士が直接触れあうと、お互いの堅さで骨がすり減ってしまいます。
そこで、正常な関節部分の骨の表面は、軟骨(なんこつ)[?]というなめらかな層でおおわれています。軟骨には神経や血管がありません。水分が多く、関節にかかる衝撃を吸収し、関節をなめらかに動かす役目があります。さらに関節部分は関節包(かんせつほう)という袋のようなものでおおわれていて、その内側にある滑膜(かつまく)[?]という膜から、潤滑油の役割をする関節液[?]が分泌されています。このようにして、痛みを感じることなく自由に関節を動かすことができるのです。

医師説明c

関節の中でも、股関節膝関節は“体重を支えながら動く”という人間の基本的な動作に、重要な役割を果たしています。
関節を動かすためには、その周辺にある筋肉を使いますが、関節に問題が生じて痛みが出たり関節の動きが悪くなったりすると、関節を動かさないでいることが 多くなります。すると、その関節の周辺の筋力が低下してしまい、さらに関節が動きにくくなる、という悪循環を生んでしまいます。

関節軟骨(かんせつなんこつ)
関節軟骨(かんせつなんこつ)は、関節の骨の表面をおおっている厚さ2~7mm程度の層です。
軟骨細胞とその他の成分(繊維成分であるコラーゲン繊維や、ゲル状の物質プロテオグリカンなど)からなっていて、水分量が多いのが特徴です。 関節にかかる体重を吸収して、関節の動きをなめらかにします。
血管、リンパ管、神経が通っていないため、いったん傷つくとなかなか回復しないと言われています。
滑膜(かつまく)
関節包(かんせつほう)の内側の関節にもっとも近いところにある膜です。関節液(かんせつえき)を生産して関節内に送り込み、古くなった関節液を再び吸収して取りのぞきます。
関節リウマチなどによって滑膜(かつまく)に炎症がおこると、膜が肥厚(厚くなる)したり増殖して、正常に機能しなくなり、さらに、炎症が続いて滑膜(かつまく)の増殖が進むと、徐々に軟骨や骨を破壊していきます。
分泌する関節液(かんせつえき)は粘調度(ねんちょうど)(ねばりの度合い)が低くなり量も増えます。粘調度の低い関節液(かんせつえき)は、潤滑油(じゅんかつゆ)としての役割が十分におこなえなくなります。また、古くなった関節液(かんせつえき)の吸収が追いつかず、関節内に大量の液体が充満して、関節水腫(かんせつすいしゅ)(いわゆる「水が貯まる」状態)を引き起こし、関節の腫れや痛みを増強する原因になります。
関節液(かんせつえき)
粘調度の高いヒアルロン酸とコンドロイチン硫酸という物質が主な成分です。
滑膜(かつまく)から分泌されて、古くなると再び滑膜(かつまく)から吸収されます。関節内にある関節液の量は関節によって違いますが、正常な膝(ひざ)関節では数mlです。関節に炎症がおこると、粘調度の低い関節液が多量に分泌され、滑膜(かつまく)からの吸収が追いつかなくなります。ひどい場合には関節内の液が30ml程度以上になり、いわゆる「水が貯まった」状態になります。関節の痛みや腫れを増強させる原因になります。
関節液の検査では、その中にある細胞数の増加を知ることで、原因となる疾患の診断をする目安になります。