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人工股関節全置換術後のよりよい生活のために

整形外科 許 太如ベルランド総合病院

ベルランド総合病院  整形外科  許 太如

人工股関節全置換術(THA)は変形性股関節症や大腿骨頭壊死症、関節リウマチ等で股関節が痛くなり、日常生活に支障が生じている方に行われます。その効果は除痛、可動域改善、脚長差の補正といったものがあり、筋力の回復、歩き方の改善が見込めます。しかし、良いことばかりではなくて、合併症の心配があり手術を躊躇されている方も多いのではないでしょうか。特にTHAの最大の合併症である脱臼は日常生活に著しく影響します。従来は患者様に動作の制限を強いるとういことで対応してきました。正座や和式トイレ、畳での生活は禁止…といったものです。つまり、痛みはとれてもやってはいけないことが増えてしまう可能性があるということです。患者様への動作制限をなくすためには人工股関節のパーツを±5度という精度で設置する必要があります。人間の目で±5度以内に設置するのは至難の技であり、なんらかの工夫が必要です。

近年、THAの技術進歩は目覚ましく、脱臼に関する予防策がかなり進歩してきました。その代表的なものがナビゲーションシステムというものです。コンピューターによる三次元計画を行い、コンピューターを使いながら手術をすることで適切で正確な手術が可能となり脱臼の可能性の低減、ひいては患者様への動作制限をなくすことができます。当科では脱臼予防・動作制限の撤廃のためにこのナビゲーションシステムを導入しました。

人工股関節全置換術を受ける場合、その後のよりよい生活のためには何らかの脱臼対策が必要です。ナビゲーションシステムがベストとは限りませんが、漫然と手術している施設ではなく、計画や手術に何らかの工夫をしている施設を選択すべきでしょう。それには医師としっかり相談することが重要です。具体的な手術の方法、術後にできること、できないこと等わからないことはなんでも質問して手術する施設を選択し、また、医師との会話を術後の生活をよりよいものにする材料にしていただければと思います。