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患者さんお一人おひとりの求める生活を取り戻すお手伝いをしたい

整形外科 高橋 知幹寿量会 熊本機能病院 

医療法人社団寿量会 熊本機能病院
整形外科 部長・人工関節センター長 高橋 知幹(たかはし ともき)

関節の痛みのために毎日がつらくなった、あるいは楽しみにしていた旅行に行くのが不安になった、と患者さんお一人おひとりのお悩みは様々ですが、「自分らしい生活が送れなくなった」ということが共通しているのではないかと思います。そうおっしゃる患者さんが、痛みから解放されてご自分らしい毎日を取り戻すお手伝いをしたいと治療・手術に臨んでいます。

厚生労働省が2016年に発表したデータによりますと、全国で2014年4月から2015年3月までに人工股関節置換術を受けた患者さんは5万2千人弱、人工膝関節置換術を受けた患者さんは7万7千人で年々増加の傾向にあります。実は米国と比べますと人口比では非常に低く、日本の患者さんは痛みに我慢強いと思われます。手術の時期というのは、患者さんのニーズや状態によって様々ですが、痛みのあまり毎日が「つらい」、楽しんでいた趣味が楽しめなくなって自分らしさを失っていると感じた患者さんご自身やご家族、ご友人のお勧めで人工関節置換術を検討するケースが多いようです。

人工関節のインプラントそのものも材質やデザインが進歩して耐久性が向上していますが、そのインプラントを正確に入れる手術というのが非常に重要ですので、ナビゲーションシステムを導入してより正確な設置をおこなう補助として使っています。たとえば、股関節の手術の場合ですと術前に撮影した患者さんのCT画像をシステムに取り込んでインプラントをどう設置すればその患者さんにとってもっともよい、脱臼しにくい角度なのかといったことを手術の計画に入れ込む訳です。そして手術中はその画像を自動車のナビのように地図として使いながら目標地点(設置位置)に到達します。CT画像というのは立体的なので、レントゲン写真のような平面より詳しい「地図」、しかも患者さんご自身の専用の「地図」を使いながら手術をおこなうため、より正確な手術が期待できます。

ナビ1  ナビ2

最初に書きましたように、患者お一人おひとりのお悩みは様々です。ご自分は治療・手術を受けてどうなりたいのか、というのを是非教えて頂きたいと思います。医師には話しづらい、という方は看護師や理学療法士でも結構なのですが、治療を行っていく上で「もう一度ダンスが踊れるようになりたい」「孫と一緒に遊びたい」など具体的な目標を教えて頂き、一緒にそのゴールを目指したいと思います。納得する治療・手術を受けるためにも十分に医師や看護師から治療の利点・リスクも含めてコミュニケーションを取って頂きたいと思います。

 

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