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健やかに歩くために

整形外科 鈴木康司青梅市立総合病院

私たちが、ごく当たり前のようにしている動作にものすごい事実が隠されていることがあります。そのひとつが”2本足で歩く(二足歩行)”ということです。最近テレビなどでよく報道されていた2本足で歩くレッサーパンダ、風太くんが歩く姿に視聴者の方は驚かれましたが、”人が歩く”ことは全く当たり前のこととして考えられています。
すなわち二足歩行は、哺乳類の中でも、また現在生息している霊長類の中でもきわめて特異なものです。その中で股関節は私たちが”二本足で歩く”要の関節といえます。

当院での人工股関節手術について

私たちはまず手術をしないで治す治療(保存療法)をアドバイスさせていただいております。手術にいたる場合も、体にかかる負担をなるべく少なくなるような手術に心がけております。手術時間は1時間半程度(麻酔時間などを含めると2-3時間です)で、小切開手術(10cm程度の切開)による人工股関節手術を行っています。しかし、私たちの行ったアンケート調査では手術のキズの長さよりむしろ早くベッドから起きて、歩ける点がご満足いただけるという患者さん御自身の回答結果でした(2006年日本股関節学会にて発表)。
近年超高齢化社会のため、御高齢の方の手術も必要になっております。当院では総合病院の利点をいかし、御高齢の方では手術前に心機能評価(超音波エコー検査など)をし、循環器医師の診察もしていただき全身状態を充分に把握した上で安全に手術を行っております。80歳以上の方でも手術をされている方が多数いらっしゃいます。
人工股関節手術後は2日目には起きて歩く練習を開始しています。杖歩行が安定して退院となります。2週ほどで退院可能な方もいらっしゃいますが、おおよそ3-4週間の入院を目安にしております。

鈴木先生の市民講座