第1回 『人工関節と医療費』

wadai001人工関節の手術ではどのくらいの医療費がかかるのでしょうか?
今回は2007年4月1日より股関節再建・人工関節センターが開設された静岡県浜松市にある県西部浜松医療センターを訪問し、医療ソーシャルワーカーの方々に、人工関節の手術にかかる医療費について教えていただきました。

 

 

ずばり!医療費はどのくらいかかるのでしょうか?

変形性股関節症で人工股関節全置換術を受けた場合、当院では3週間から4週間の入院でおよそ200万~250万円になります。この中には、インプラント(人工関節)の費用[?]

や治療費など保険診療の適応となる費用が含まれています。保険診療の適応のないもの、つまり、差額ベッド代や食費(基本1日につき780円)、病衣のレンタル代などは別途負担となります。人工膝関節置換術の場合は、インプラントの費用[?]が股関節よりも若干小額なため、股関節の場合より少ない費用になります。

保険診療の費用は治療内容や医療機関によって異なります。また、ベッド代などの負担費用も医療機関により異なりますので、詳しくは手術を希望される医療機関でご確認ください。

※特発性骨頭壊死症や悪性関節リウマチなど特定疾患については、保健所に特定疾患医療受給者証の交付を申請することにより医療費が助成されます。

 

実際に支払う金額はどのくらいですか?

患者さんの医療保険の負担割合に応じて、最高3割までの負担があります。医療費が200万~250万円の場合、3割負担の場合では60万~75万円と高額になります。
そこで当院では、人工関節置換術を受けられる患者さんに対して、積極的に公的な医療費助成に関する情報を提供しています。
保険診療で支払う費用については、1ヶ月あたりの自己負担限度額が決められています(表1)。この限度額を超えた場合は、高額療養費制度を利用することができます。また更生医療(表2)を利用することもできます。更生医療は、身体障害の原因となる症状に対して、日常生活動作の回復や向上を目的として行う手術などの治療に適用される制度です。どちらも世帯所得によって負担限度額が異なります。

※この場合の「世帯」とは保険証の単位です。住民票上の世帯ではありませんのでご注意下さい。

 

表1 医療保険の1ヶ月あたりの自己負担限度額

年齢 世帯所得の状況 限度額の計算式 医療費が
200~250万円の場合
(計算式による算定)
70歳
未満
月収53万円以上
国民健康保険は
年間所得600万円超
(医療費-500,000円 ×1%
+150,000円
165,000円 ~ 170,000円
住民税が非課税 35,400円 35,400円
上記以外(一般) (医療費-267,000円 ×1%
+80,100円
97,430円 ~ 102,430円
70歳
以上
課税所得が145万円以上
健康保険・船員保険等は
月収28万円以上
(医療費-267,000円)×1%
+80,100円
97,430円 ~ 102,430円
住民税が非課税 15,000 ~24,600円 15,000円 ~ 24,600円
上記以外(一般) 44,400円 44,400円

但し、70歳以上で公的年金等控除の見直し・老年者控除の廃止により課税所得が145万円以上等になった方は、平成20年7月末まで(健康保険・船員保険等は平成20年8月末まで)一般として扱われます。
75歳以上(昭和7年9月30日以前に生まれた方)の方は、老人保健で医療を受けることになります。
老人保健制度は、健保組合・共済組合・国民健康保険など、すべての医療保険の保険者が共同で費用を負担(国・地方自治体も一部を負担)して、市区町村が運営を行っています。
老人保健制度の1ヶ月あたりの自己負担限度額は、医療保険の自己負担限度額(表1)の70歳以上と同じです。

 

表2 更生医療の1ヶ月あたり自己負担限度額(人工関節置換術の場合)

世帯所得の状況
医療費が200~250万円の場合
生活保護
0円
市区町村民税が非課税で本人収入80万円未満
2,500円
市区町村民税が非課税で本人収入80万以上
5,000円
市区町村民税が20万円未満課税
医療保険の自己負担限度額
市区町村民税が20万円以上課税
更生医療の対象外

患者さんの負担額の詳細については、社会保険庁および厚生労働省のホームページをご覧下さい。

 

表3 高額療養費制度と更生医療

高額療養費制度 更生医療
実施主体 医療保険の保険者 市区町村
相談窓口
・社会保険(健康保険/船員保険)は
社会保険事務局/健康保険組合の
担当窓口
1.国民健康保険は役所の国保窓口
2.共済組合は各組合の担当窓口
1. 市区町村(役所)の福祉担当窓口
2. 住居地の福祉事務所
給付方法
現物給付
(患者さんが窓口で医療費を立て替え
る必要はありません)
現物給付
(患者さんが窓口で医療費を立て替える必要はありません)
手続き
健康保険限度額適用認定証の交付を
申請認定証を医療機関へ提出
(手術を受けた月の月末までに手続き
を済ませてください)
身体障害者手帳の発行を申請
(手帳発行に要する期間は、
政令市・中核都市で約1ヶ月、
都道府県で約2ヶ月)
・更生医療給付申請書を役所に提出
・更生医療券を医療機関へ提出
備考
医療機関への認定証の提出手続きが
遅れた場合、窓口で一時的に医療費
を立て替えなければならないことが
あります。詳しくは相談窓口におたずね下さい。
・身体障害者手帳の申請には、指定医の意見書が必要です。
・更生医療は指定医療機関でのみ受けることができます。
詳しくは医療機関または役所でおたずね下さい。

 

 

病院ではどこに相談したらいいの?

医療機関にもよりますが、医療費について知りたい場合は、まずは主治医にご相談下さい。医療機関に医療相談室等があれば、そこで詳しい説明を受けることができます。
実際の医療費は医療機関によっても異なります。詳しくは手術を希望される医療機関におたずね下さい。

協力:
県西部浜松医療センター
股関節再建・人工関節センター

※ここに掲載された内容は、平成19年4月20日現の情報をもとに記述しています。

 

この情報サイトの内容は、整形外科専門医の監修を受けておりますが、患者さんの状態は個人により異なります。
詳しくは、医療機関で受診して、主治医にご相談下さい。

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