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人工股関節置換術 ~両足人工関節16年~

Yさん(女性 手術時年齢 52才) 病名:両変形性股関節症

私は今68歳、両股関節に人工股関節を入れて16年になります。
中学校の教員(音楽)に就職してから15年後、37歳の時、右足に痛みを感じ、自分が両変形性股関節症であることを医師から聞きました。
しかし、仕事も面白くがんばっていたので、なるべく足への負担を軽くするように生活面で改善し、仕事を続けることにしました。改善したことは、
①2階での生活を1階に変えた
②たたみの上での生活を椅子・テーブルの生活に変えた
③トイレは洋式に
④別棟に寝室を建てベッドを入れた
⑤重たいものは持たぬようにし、買い物はショッピングカートを使った
等、常に足を大切にするのを忘れたことはありません。けれども職場は若い教員が増え、私の肩には進学指導などで高校へ出かけたりするような重い仕事が覆いかぶさり、体重も若いときより5キロも増え(47㎏)たりして痛みが強くなったので、1982年47歳の時、右病院で右足にオマリー(筋解離術)の手術をしました。
腰椎麻酔で簡単な手術でしたが、その後3ヶ月ほど牽引をしても思うように股関節の隙間は広がらず、両松葉で右足はなるべく使わないようにして退院し、2学期から職場復帰しました(この時は片松葉で)。中学生相手の指導は思うようにいかず、もどかしさがつのるばかりで、3学期は休職して家で療養し、結局25年勤めた教員を4月に辞め、主婦業に専念することにしました。
合唱団に入り、週1回思い切り歌って楽しいひと時を過ごしました。もちろん筋力アップの体操は毎日行っていましたが、5年後痛みが出たので、また、同じ病院で1987年52才の時右足に人工関節を入れました。
輸血もせずに術後も順調でした。医師は、「退院してまたしばらくしてから左足については考えればよい」といわれていましたが、夫や長男の面倒を見てくれていた義母は81才で相当に疲れていたので、左足も続いて人工を入れました。右足は6月3日に手術をし、リハビリをしながら8月19日に左足手術をしたわけです。
左足のほうは牛乳ビン3本分の輸血をし、術後8度7分位の熱が1週間出たりしましたが、造血剤も飲みつつ毎日リハビリに励み、しっかり食べて回復は早かったのです。1本杖でちゃんと歩けるまで訓練を受け、両足とも同じ長さになり本当にうれしく執刀医やリハの先生、家族等々に感謝の気持ちでいっぱいです。
この大切な「人工関節」を1日でも長くもたせるために週2回のリハビリに通い、家では毎日1時間くらいはストレッチやお尻上げ、腹筋の運動などをがんばっています。この原稿を書くにあたって入院時に書いた大学ノート1冊のメモの目を通し、昨日のことのように懐かしく思い出しています。

(出典:NPO法人のぞみ会 発行誌のぞみNo.66 「人工関節置換術15年以上の方の体験記」)